膵がんの早期発見に役立つ論文がOncology誌に掲載されました。従来の腫瘍マーカーCA19-9に加え、血清中のメチル化遺伝子(HOXA1、SST)を組み合わせることで、ステージ1膵がんの検出率が大幅に向上することを報告しています。
【研究概要】
我々はDNAをメチル化感受性制限酵素で処理しデジタルPCRを行う、新しいメチル化アッセイCombined Restriction Digital PCR (CORD) アッセイを開発した。 健常者82名,良性膵臓疾患13名,IPMN3名,膵臓癌91名の血清試料を用い、CORDアッセイによるメチル化HOXA1とメチル化SSTのコピー数測定を行った。またCA19-9も測定した。単独マーカー、および、マルチマーカーでの膵癌診断能を評価した。結果は以下の表の通りであり、メチル化HOXA1、メチル化SSTとCA19-9の併用は、ステージ1膵癌検出に有用と思われた。
①単独マーカーテスト結果
マーカー | 感度(全ステージ) | 感度(ステージ1) | 特異度 |
CA19-9 | 71.4% | 50.0% | 94.9% |
HOXA1 | 51.6% | 68.8% | 90.8% |
SST | 50.1% | 68.8% | 94.9% |
②マルチマーカーテスト結果
マーカー | 感度(全ステージ) | 感度(ステージ1) | 特異度 |
HOXA1 + CA19-9 | 86.8% | 81.3% | 85.7% |
SST + CA19-9 | 86.8% | 87.5% | 89.8% |
HOXA1 + SST + CA19-9 | 89.0% | 87.5% | 85.7% |