ブタ回虫のDNA検査に関する症例報告論文が掲載されました。
Mitsuaki Nishioka, Koichi Hamabe, Yuki Kunimune, Masaki Kodama, Yukiko Nakahara, Naoko Okayama, Mika Tominaga, Hiromi Furutani, Fusako Ito, Tomohiro Fujii, Yutaka Suehiro, Taro Takami, Takahiro Yamasaki
A case of asymptomatic infection of Ascaris suum identified by PCR-restriction fragment length polymorphism and DNA sequence analysis
Diagn Microbiol Infect Dis. 2024 Jul 14;110(1):116444.
PCR-制限酵素断片長多型とDNA配列解析により同定されたAscaris suumの無症候性感染の1例
ヒトのアスカリア症は土壌伝染性蠕虫症であり、顧みられない熱帯病である。Ascaris suumはヒトとブタの間で交差感染を引き起こす可能性がある。本研究では、アスカリス・スウムに無症状で感染したまれな症例を紹介する。66歳男性が大腸内視鏡検査を受けたところ、肝湾曲部に白色線状の虫体が認められた。吸引により虫体を採取し、寄生虫同定のために検査室に提出した。患者には寄生虫感染に関連する症状はなかった。虫体はアスカリス属であることが強く疑われた。形態学的分類が困難であったため、遺伝子解析を行った。PCR-制限断片長多型の結果と内部転写スペーサー-1領域の塩基配列解析から、A. suumと判定された。遺伝子解析によるA. suumの迅速鑑別の経験は、今後の寄生虫感染症の検討に役立つと思われる。